医療保険と介護保険について分かりやすく解説します

なすちゃん
医療保険や介護保険ってどちらも似た感じでややこしいわね。
かんちゃん
そうですね。
そんな方のために今回は医療保険と介護保険について分かりやすく解説していきます。
それでは簡単にまとめてみますのでご覧下さい。

医療保険について

制度の概略

わが国においては病気やけがをした時に

・病院や診療所などの保健医療機関に健康保険被保険者証(保険証)を提示。
・医療サービスを受ける。
・医療費は一部自己負担する。
・残りの部分は医療保険財政から支払われる。

上記のような医療保険制度が採用されています。

1961(昭和36)年に国民階保険制度が実現し、国民は原則として何らかの医療保険に加入しなければならなくなりました。

医療保険制度の種類

医療保険は

・職域を基にした被用者保険(職域保険)
・居住地(市町村)を基にした地域保険(国民健康保険)
・高齢者に対する後期高齢者医療制度(長寿医療制度)

上記に分けられます。

①被用者保険(職域保険):勤め人(サラリーマン)やその扶養家族が加入者(被保険者)

種類:健康保険(全国健康保険協会、組合健康保険)、船員保険、各種共済組合

②地域保健(国民健康保険):自営業者や会社を退職した人が加入者(被保険者)

種類:市町村国民健康保険等

③後期高齢者医療制度(長寿医療制度):75歳以上または65~74歳で一定の障害があることで認定された人が加入者(被保険者)

介護保険制度

介護保険制度の背景・ねらい

2000年4月から、高齢者の自立支援という基本理念の下、介護を必要とする方に対し、サービスを提供する新しい仕組みとして、社会保険方式に基礎を置いた介護保険制度が施行されました。

この制度は、急速に進行する高齢化、それに伴う寝たきり・認知症の高齢者の増加、医療費の増大、家族の介護機能の変化などの高齢者介護問題に対応する新たなシステムとして創設されました。

それまでの高齢者介護は、老人福祉法と老人保健法の両制度により行われていましたが、利用手続き、利用サービス選択、そして保険・医療・福祉にわたる総合的なサービスの面で課題が多かったのです。

そこで、介護保険制度では、両制度再編成し、利用者の選択ができる「契約」制度を取り入れ、財源として社会保険方式を採用して保険料の負担と給付(介護サービス)との関係を明確にし、家族などによる私的介護から社会全体で介護を支えることを狙いとしてスタートしました。

介護保険制度のしくみ

介護保険制度の保険者は市町村です。国、都道府県が財源など重層的に支え合うこととしています。

被保険者は40歳以上の者。

・第一号被保険者:65歳以上の者
・第二号被保険者:40歳以上65歳未満の医療保険加入者。

上記に区分されます。

サービスの受給要件は、要支援、要介護状態と認定された場合です。しかし、第二号被保険者は、介護保険法に定める16の特定疾病に該当し、要支援、要介護状態と判断された場合です。

第一号被保険者65歳以上の者要介護(要支援)状態
第二号被保険者40歳から65歳までの医療保険加入者要介護(要支援)状態であって、加齢に伴う疾病であって政令で定めるもの

介護保険の審査は申請調査一次・二次判定の順で進んでいきます。

サービス区分の認定人が住む市町村の介護保険に関する窓口に申請します。
市町村では、自宅や病院・施設に調査員を訪問させ、要介護等の状態にあるかの認定調査を行います。
この調査に基づくコンピュータ判定の結果(一次判定)と主治医の意見書、訪問調査の際の特記事項に基づき、市町村などに設置されている介護認定調査会において、認定の審査、判例が行われます。(二次判定)
かんちゃん
私も一般病院の回復期で働いていた頃は調査員が病院に訪れて患者についての聞き取り調査をされました。また、調査員は看護師と患者それぞれ別々に調査を行っていました。市町村によって若干判定に甘い厳しいといった特徴があるよな印象を受けました。

 

判定の結果、要支援1・2要介護1~5および非該当に分けられます。

要支援1,2や要介護と認定された者は、介護予防のケアプランが作成され、介護サービス事業者からサービスを受けます。

非該当と判断された者は、2009年度から、一律、特定高齢者候補者とみなし、生活機能評価をうけることとなり、その結果、基準に合致すれば、特定高齢者として、市町村が実施する介護予防ケアプランによる介護予防事業を受けることができます。

その他の非該当者は、介護保険外の市町村のサービスや一般高齢者としての介護予防事業を受けることになります。

なお、要介護認定の結果に不服があるときは、都道府県に設置された審査機関に不服の申し立てを行うことができます。

介護保険制度で受けられるサービス

介護保険による給付には、予防給付介護給付があります。

予防給付

予防給付は、介護保険において、要支援1、要支援2と認定された者が受けられるサービスです。

平成17年度の介護保険制度の見直しに「予防重視型システムへの転換」が大きな柱となり、新たな予防給付として再編されました。

予防給付で提供される介護予防サービスは、介護予防通所介護、介護予防訪問介護、介護予防通所リハビリテーションなどがあります。

なお、介護予防通所介護サービスでは、運動機能向上、栄養改善、口腔機能向上の介護予防を目的とした内容が組み込まれたサービスを利用できるようになりました。

介護給付

介護給付は、要介護1~5と認定された者が対象で、在宅と施設の両面にわたるサービスを受けることができます。

在宅サービスの内容は、訪問看護、訪問介護、通所介護などであり、介護サービス事業者に居宅サービス計画(ケアプラン)を作成してもらいサービスを受けることができます。

また、利用者自らサービス計画を作成し、サービスを受けることも出来ます。

施設サービスは、介護老人保健施設、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護療養型医療施設においてサービスを受けます。

保険給付の上限額

在宅サービスにおいては、要介護度に応じて保険給付の上限額(区分支給限度基準額)が設定されています。

また、利用者は、費用の1割負担でサービスを受けることが出来ます。

施設介護サービスの給付額は、施設サービス基準額の9割であり、1割が利用者の負担になります。

介護保険施設などにおける居住費と食費は平成17年度の介護保険法の改正により、保険給付の対象外となりました。

予防給付・介護給付サービスの種類

地域密着型サービス

2005(平成17)年度の介護保険制度の改正により見直されたサービスです。

認知症の高齢者や一人暮らしの高齢者が住み慣れた地域で生活を継続していけるために、身近な市町村で提供される介護サービスです。

地域密着型サービスとして小規模多機能型居宅介護や小規模な介護老人福祉施設などが位置づけられます。

このサービスは、原則として、当該市町村に住んでいる方が利用可能です。

地域支援事業

要支援・要介護状態になる前からの高齢者の介護予防を推進し、地域における包括的・継続的なマネジメント機能を強化するために、地域支援事業が平成17年の改正で創設され、市町村の地域包括支援センターにて実施されています。

  • 介護予防事業:特定高齢者(65歳以上の者を生活機能評価により把握)に対する運動器の向上、栄養改善、口腔機能の向上など介護予防事業、その他全65歳以上の一般高齢者に対する介護予防事業
  • 包括的支援事業:介護予防ケアマネジメント、総合相談、包括的・継続的ケアマネジメント事業など
  • 任意事業:介護給付等費用適正化事業など

介護保険サービスの質の確保と向上

利用者に良質な介護サービスが提供され、サービスの質を確保するために、介護サービスの情報の公表、事業者規制などがあります。

なすちゃん
医療保険と介護保険のことはわかったわ。
でも、利用できる主な社会資源にはどのようなものがあるのかしら?
かんちゃん
社会資源に関しては、訪問看護、訪問介護(ホームヘルプ)、訪問入浴サービス、通所介護(デイサービス)、療養通所介護、訪問リハビリテーション(デイケア)、通所リハビリ(デイケア)、精神科デイケア、短期入所介護(ショートステイ)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、シルバーサービス(民間企業による介護サービス)、地域包括支援センターなどが利用できます。
これらに関して詳しく見ていきましょう。

訪問看護

看護師、保健師、助産師の国家資格、准看護師の都道府県資格があれば、訪問看護師として訪問看護に従事出来ます。

看護を受ける人であり、主体者である療養者に対して在宅で行う看護、その場に訪問して行う看護が訪問看護です。

訪問介護(ホームヘルプ)

介護福祉士や専門的な研修を受けたホームヘルパーが居宅を訪問し、身体介護や家事援助を行うサービスです。

身体介護とは、利用者の身体に直接接触して行う介助ならびにこれを行うために必用な準備や後始末ならびに利用者の日常を営むのに必要な機能の向上のための介助および相談援助などです。

家事援助とは、身体介護以外の訪問介護であり、調理、掃除、洗濯、などの援助です。サービス提供方法としては、利用者の家庭に滞在して行うサービス(滞在型ホームヘルプ)と、日に複数回訪問し、オムツ交換や水分補給などを短時間に行うサービス(巡回型ホームヘルプ)があります。

訪問入浴サービス

浴槽などを乗せた移動入浴車などで訪問し、居室に浴槽を持ち込んで入浴を援助するサービスです。

通常看護師を含めた3人のチームで援助を行い、入浴前に利用者の身体状態をチェックします。

通所介護(デイサービス)

療養者がデイサービスセンターや介護老人福祉施設などに出向いて、健康チェック、給食、入浴、レクリエーション、日常動作訓練などを行い、併せて介護者教育も行うサービスです。

さらに、介護予防のために、運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上のプログラムを実施します。

スタッフは生活相談員、介護職、介護職員、機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士、あん摩マッサージ指圧師)などです。

通所は一般に送迎付きで、1日5~6時間程度のプログラムになっているものが多いです。

デイサービスは単に給食や入浴のどのサービスを受けるためだけではなく、利用者が外に出て、多くの人と関わりをもつ機会を確保し、また、介護者を昼間介護から開放するという意味をもちます。

療養通所介護

2006年(平成18)年4月より介護保険制度において新設されたサービスです。

難病やがん末期の要介護者が訪問看護ステーションや介護療養型医療施設などに出向いて、日中必要な医療と介護を受けるサービスです。医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ在宅の中重度者が、在宅での生活を継続するために、通所によるサービスを行います。

 

訪問リハビリテーション(デイケア)

医師の指示により、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が訪問してリハビリテーションの計画を立て、実施します。

また、療養者や家族に指導するサービスです。

通所リハビリ(デイケア)

介護老人保健施設、病院、診療所などの施設に出向き、理学療法、作業療法、言語療法その他必要なリハビリテーションを受けるサービスです。

送迎付きの通所リハビリ(デイケア)もあります。

スタッフは、必ず医師が勤務し、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職である。通所介護(デイサービス)と同様、心身機能の回復のみならず、社会参加の機会を与え、介護者の介護負担を軽減するという役割をもちます。(レスパイトケア)

 

精神科デイケア

精神科デイケアとは、精神科領域におけるリハビリテーション的な治療で、健康保険の適用が認められたものです。

たとえば、精神科に通院中だが家にいてもすることがない、人づきあいが苦手で家に閉じこもってしまう、働く自信がない、働いても長続きしない、社会のなかでの生活に困難をもっている方、症状がよくなって病院から退院してきたものの、買い物や食事の準備、家事など基本的な生活の仕方にとまどっている方などを 対象としています。

精神科デイケアで、日常生活や社会生活の能力、対人関係能力などの改善をはかります。

短期入所介護(ショートステイ)

在宅で介護をしている家族が病気になる、または、冠婚葬祭や休養などの理由により、一時的に介護が困難な状態になった時、要介護者が施設に入所するサービスです。利用者の医療の必要性によって2つのタイプがあります。

①短期入所療養介護:医療依存度が高い人を対象にし、介護老人保健室、介護療養型医療施設、(病院、診療所)などに入所し、必要な医療や日常生活上の世話、機能訓練などを行います。

②短期入所生活介護:介護が必要な人を対象にし、老人短期入所施設、介護老人福祉施設などに入所し、日常生活上の世話や機能訓練を行います。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症の老人が共同生活を送ることができる、小規模で家庭的な環境の場をグループホームといいます。

通常5~9人程の認知症老人が共同で生活しており、介護従事者が日常生活の援助を行います。

シルバーサービス(民間企業による介護サービス)

シルバーサービスとは、民間企業などが提供するサービスです。

公的な制度におけるサービスと異なり、利用回数などの制限はなく、様々なニーズに対応できます。

国内外の旅行の付き添い看護サービス、有料老人ホーム、食事の宅配サービス、移送サービス、福祉用具の販売、レンタルなどさまざまなサービスがあります。

これらのサービスは、柔軟性がある反面、利用料は全額自己負担のため、費用がかさむという特徴があります。

地域包括支援センター

2006年(平成18)年4月に設置されました。

公正中立の立場から高齢者の相談・支援を行う中核機関です。

運営主体は市町村、在宅看護支援センターの運営法人(社会福祉法人、医療法人など)、そのほか市町村から委託を受けた者です。

中学校区(人口2、3万人)に1か所設置されます。

職員は、保健師、主任ケアマネージャー、社会福祉士の専門職種、またはこれに準じる者で構成されます。

主な機能は次の4点です。

①総合相談支援:高齢者に対する様々な相談を受け付け、訪問して実態を把握し、必要なサービスにつなげる。

②高齢者の権利擁護:虐待防止、早期発見などにより高齢者の権利擁護に努める。

③介護予防ケアマネジメント:要支援1,2の高齢者に対する介護予防サービスケアプランを作成する。要支援・要介護状態になるおそれのある高齢者に対する介護予防プログラムを作成する。

④包括的・継続的ケアマネジメント支援:高齢者に対し適切なサービスが継続的に提供されるために、ケアマネージャーの指導・相談などを行い、ケアマネジメント体制の構築を支援する。

なすちゃん
なるほど!利用できる社会資源に関しては分かったわ。
それでは、高齢者の生活の場にはどのようなものがあるのかしら。
かんちゃん
その質問に関しては、こちらのような生活の場が提供されています。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)65歳以上で、身体上・精神上に著しい障害があるために、常時介護を必要とする人で、居宅で介護を受けることが困難な人が入所する施設。介護保険の施設サービス。
介護老人保健施設(老人保健施設)病状が安定期にあり、入院治療の必要がない要介護者に対して、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行う施設。入所期間はおおむね3か月程度。介護保険の施設サービス。
介護療養型医療施設(療養病床など)病状が安定しており、長期療養患者で常時医学的な管理が必要な人が入院する施設。介護保険の施設サービス。
認知症対応型グループホーム認知症の高齢者が、比較的少人数で、家庭的な環境で共同生活する施設。介護保険の地域密着型サービス。
養護老人ホーム65歳以上で、身体上・精神上・環境上の理由や経済的理由により、居宅での生活が困難な人が入所する施設。
経費老人ホーム60歳以上で家庭環境・住宅環境などにより居宅での生活が困難な低所得者が入所する施設。食事の提供があるA型と、自炊できる健康状態にある者を対象としたB型がある。
ケアハウス(介護利用型経費老人ホーム)60歳以上で身体機能の低下が認められ、または高齢のため、独立して生活するには不安が認められる人で、家族の援助を受けることが困難な人が入所する施設。生活相談、入浴、食事の提供あり、介護が必要な場合には、介護保険の居宅サービスを受けることができる。
有料老人ホーム民間が設置・運営する施設。入所条件、サービス内容は施設によって異なる。介護が必要な場合には介護保険の居宅サービスを受けることができる。
高齢者集合住宅市区町村が提供する高齢者向け住宅。住宅に困窮している65歳以上のひとり暮らしの高齢者または、高齢者夫婦などに対し、高齢者の特性に配慮した安全で利便性の高い構造や設備を備えた住宅を提供する。
民間シニア住宅民間が設置・運営する高齢者向けの住宅。高齢者の特性に配慮した安全で利便性の高い構造や設備を備えた住宅。費用は全額自己負担。
なすちゃん
なるほど。さまざまなサービスが提供されているのね!
かんちゃん
さまざまなサービスがあるので利用したいサービスについてはケアマネージャーさんやソーシャルワーカーさんとも相談されるといいですね。
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