特に患者さんにとっては週に3回の穿刺による苦痛は最小限にしたいですね。
穿刺とは?
穿刺とは老廃物と余分な水を引くために血液を体外循環させるのですが、その時に必要量の血液を確保するために血管に針を刺すことをいいます。
脱血側と返血側の2本針を刺します。
透析患者さんの血液透析に用いられる血管はシャントと言われるもので必要血液量を確保するために静脈に動脈を吻合し静脈に流れる血液量を多くしたものです。
自分の血管を用いるものと人工のチューブのようなものを入れて血管代わりにする人工血管が代表的な血管です。
※赤は動脈 青は静脈
穿刺の心得
透析看護における穿刺って緊張しますし、一番嫌ですよね。
穿刺が好きっていう人はなかなかいないと思います。
穿刺が終われば1日の業務の大半が終わったと言っても過言ではないでしょう。
穿刺が原因で患者さんとの関係がこじれたりすることはよくあります。
それほど穿刺というものは患者さんとの信頼関係を構築するうえでとても重要になってくるのです。
中には穿刺はセンスだという人もいますが、私はセンスだけでは片づけたくないと思っています。
センスという言葉には裏付けされる何かが必ずあるからです。
事実、私も透析室で働き始めた最初の頃は失敗ばかりしていました。
何度も患者さんから厳しい言葉を浴びせられました。でもそれだけ穿刺という行為は重大で、命に関わることなのです。
しかし、難しい血管を刺せた時の喜びや、患者さんから「痛くなかった。ありがとう。」と言われた時の嬉しさは計り知れないものがあります。
1年で何千回と穿刺を行う中のたった1回の穿刺が自身と患者さんの関係や患者さんの運命にさえも影響を与えかねません。
私たちはプロである以上失敗していい穿刺なんて1つもないと思います。
失敗は許されない気持ちを持たなくてはいけません。
だからこそ考えて悩んで穿刺を行っていくのです。
先ほどセンスには裏付けされる何かが必ずあると記しましたが、それがこちらです。
駆血の強さや方法
解剖学的に血管を理解しているか
血管を立体的にとらえられているか(走行、深さ、太さ)
使用している針の長さは把握しているか
浅く刺していき距離で深さを稼ぐ(血管を貫いてしまうリスクが減る)
常に平常心で穿刺に臨む
以上のようなことが挙げられます。
センスという言葉の中にはそれらのいくつもの穿刺を成功へと導く要因があるのだと思います。
あとは、精神的な問題です。
・失敗したらどうしよう・・・や、あの患者さんの穿刺嫌だなと思わず、常にどんな患者でも同じような気持ちで平常心で穿刺に臨むようにする。
・私のルーチンとしてまずペンレステープやリドカインテープの上から血管を触ってみる。
(ここでわかればテープを剥がして駆血すれば確実にわかるはず。わからなくてもテープを剥がせばわかるはず。それでもわからなければ駆血をすればわかるはず。)
このように自分の中で言い聞かせています。
上記の様にしたら成功率が格段と上がりました。
集中力と絶対に成功させるという強い気持ちです。
自身の穿刺の失敗を振り返ると集中力が欠けていたり、駆血があまかったり、失敗するんじゃないかという弱い気持ちがあったことがほとんどです。
駆血が強すぎても動脈からシャントに流れる血液を遮断させてしまい血管が怒張しなくなることがあります。
理想の駆血の強さは収集期血圧と拡張駆血圧との間にあります。
一番いい駆血の強さを患者さんごとに見つけて下さい。
そして、忘れてはいけないのは失敗した後の対応です。
言い訳はせずにしっかりと謝罪を行いましょう。
もし、関係が崩れてしまったら血圧を測る際や針を抜く際など患者さんと関わる別のタイミングで会話などをして、徐々に関係を修復していきましょう。
ここで学生時代に習った三平方の定理を思い出してみて下さい。
血管は深くても5㎜程度、血管径は細くても2㎜以上だと考えられます。
例えば深さ3㎜の血管に推奨されている角度30°で穿刺した場合三平方の定理を用いると深さ3㎜の血管に針先が到達するまでに針自体は6㎜入り、刺した場所からは横にには3√3㎜(5.19㎜)動いたことになります。
実際穿刺時にこのようなことを考えながら行うことはなかなかできませんが理屈的にはこのような感じです。
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